北朝鮮・朝鮮半島の報道を見ていて

話題としては少々古くなってしまいましたが、依然脅威そのものがなくなったわけではなく、日本にとって最も差し迫った問題である朝鮮半島について、腑に落ちないことを少々。

 

昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談の時もそうでしたし、2月に行われたベトナムでの二度目の首脳会談でも、相変わらず、新聞やニュース番組を含めて、まるでスターの一挙手一投足を追うワイドショーのように両首脳、特に北の独裁者を報じています。もちろん、表情や言動で何を考えている専門家が分析する意味はあるのでしょうが、一般人がこの問題を理解するうえで、最も重要なことには到底考えられません。

 

私たちは、祭りのように首脳会談に大騒ぎするのではなく、現実的に今朝鮮半島で何が起き、今後どのような事態が考えられるのか、そして、日本はそれへの備え(軍事的にも)ができているのか、さらに今後さらに事態が悪化した際に、その事態に対処できるのかを認識することが最も大事なのではないでしょうか。

 

実際、北朝鮮は過去20年、非核化の約束を反故し続けており、核やその運搬手段である弾道ミサイルを手放すことを予想する専門家の意見は皆無です。

 

一方、トランプ大統領がそんな状況を容認し、北朝鮮への制裁緩和に傾くことも懸念されます。と言っても、米国は議会の権限が強く、軍、国務省などの官僚機構も巨大で、米国の意思決定プロセスは重層的です。つまり、大統領の権限は制限されており、同氏の言動だけ見て、右往左往するのも賢明ではありません。

 

もちろん、一朝一夕で軍事力は整備できませんし、そのための人材育成も、ロジスティックスも同様です。法の整備も国民の理解も必要です。お金だけでなく、労力も、何より時間もかかるからこそ、議論の段階で、「憲法上許されない」など固定観念に縛られず、ましてや「信じる者は救われる」ばりに、現実逃避するのではなく、憲法や法律、願望にとらわれずに自由に発想し、コストや技術の面で(法律や感情ではなく)、必要な手段を探ればよいのではないでしょうか。

 

そのうえで、日本の危機を諸外国に共感してもらい、制裁などで日本と歩調を合わせてもらえるように、外交の場を最大限活用することが必要なのです。そもそも、血を流す覚悟もなく、汗さえ流す気もないで、他国に手間や負担を求めても、それを受け入れてくれる国があるのでしょうか。だからこそ、軍事的にも日本の「本気」示すことが必要なのです。

 

そもそも、国防、広義の安全保障は国家にとって必須なことであり、それを忌み嫌っている方が世界では異常ではないでしょうか。自国の防衛を軽視する「経済最優先」も敗戦後の異常事態でこそ意義があったので、戦後復興も歴史の1ページに過ぎ去った今、落ちぶれたといえども、世界3位の経済大国で許される姿勢ではありません。

 

少しでも日本の置かれている安全保障環境について知り、経済的にも必要な負担を覚悟することが肝心でしょう。当然ながら、朝鮮半島発危機に際し、日本は完全に当事者になります。いつまでも評論家然とした態度ではいられないのです。

 

誰でも手に入る公開資料を眺めても、どう考えても日本への危機が後退しているとは判断できません。こんな時こそ、ニュースがわかりやすく事態を伝えなくてはならないはずですが。。。